- 通信制高校って、普通の高校より「卒業」の価値が低くならない?
- 通信制高校って、ちゃんと3年で卒業できるの?卒業率は?
- 通学しなくても、自分でちゃんと単位が取れるのか心配。
不登校の長男(中2)の進路として、通信制高校を検討しています。
入学時の学力テストがないところが多いのですが、気になるのが卒業率。
果たして、勉強が苦手な子でも、きちんと単位を取得して卒業することはできるのでしょうか。
この記事では、高校の必修科目や、通信制高校の卒業の基本的な知識を解説します。
進学を考えている人も、その保護者も、正確な情報を知って、通信制高校が向いているかどうかを判断できますよ。
通信制高校のメリットは、全日制と同じ高卒資格が取れること
通信制高校でも、全日制高校でも、「高卒資格」は全く同じもの。
通信だからといって、その価値が変わるわけではありません。
なんだかんだ言っても、日本は学歴社会なので「高校くらいは卒業しておかなくちゃ」という感覚はあります。
自分の好きなことを勉強しながら、普通の高校と同じ高卒資格が取れるのは、通信制高校のメリットですね。
意外と甘くない!通信制高校を卒業するには単位取得が必要
通信制高校は、卒業するために単位の取得が必要です。
私が見学に行ったルネサンス高校の場合、この4つが卒業条件とされています。
- 高等学校での在籍期間が合計3年あること
- 合計取得単位が76単位以上あること
- 必履修科目をすべて履修していること
- 特別活動として必要時間を満たしていること
本来、通信制高校卒業に必要な単位数は、74単位なのですが、ルネ高は独自で少し基準を高くしているみたいですね。
通信制高校の必履修科目(必修科目)は、全日制高校と同じ
必履修科目は、一般的には必修科目と呼ばれます。
通信制高校でも、全日制高校でも、必修科目は同じ。
- 国語
- 社会(地理・歴史・公民)
- 数学
- 理科
- 保健体育
- 芸術(音楽・工芸・美術・書道)
- 英語
- 家庭科
- 情報科学
必修科目は、誰もがなじみのある教科ばかり。
学習指導要綱に定められたもので、たびたび改定はされるものの、大枠はこんな感じです。
卒業に必要な74単位(ルネ高は76単位)から、必修科目を引いた分は、学校独自の授業や専門性のある授業など、選択科目で履修することになります。
特別活動は、入学式などの学校行事|3年間で30時間
特別活動とは、入学式や卒業式、運動会、球技大会、遠足など、各種学校行事のことを指します。
通信制高校では、学校によって行事があったりなかったり、まちまちです。
必要時間は、ルネ高の場合、在籍している3年間で30時間。
行事に参加する理由は、「友達に会えるから」「なんとなくダベりたいから」とかでいいから、楽しめるようになってほしいのが本音です。
通信制高校の卒業率は、全日制よりも約4%低い
一般的に、通信制高校は卒業率が低いイメージがありますが、実際はどうでしょうか。
文部科学省がまとめているデータを元に、計算してみました。
中途退学者数 | 退学率 | 卒業率 | |
全日制 | 29558人 | 0.9% | 99.1% |
通信制 | 8814人 | 4.9% | 95.1% |
通信制高校の卒業率は、全日制高校よりも4%低いという結果になりました。
通信制高校|公立より、私立の方が卒業率が高い
全日制高校は、公立も私立も、卒業率は大きく変わりません。
しかし、通信制高校の卒業率は、公立93.7%、私立95.8%と、若干差があります。
私立の通信制高校のほうが卒業率が高いんです。
- 課題などのサポート体制が手厚いから
- 公立より学費が高く、在学が経済的に苦しいから
- 専門コースの場合、卒業してやりたい仕事や目標があるから
私立の通信制高校は、ビジネスとして運営しているので、卒業率は学校の評判に関わります。
そのため、3年で卒業できるように、きめ細かいフォローがあります。
保護者も、学費を考えると、早く卒業してほしいですよね。
また、美容や芸能など、専門コースが充実しているのも、私立の通信制高校の特徴。
長男のように「プロゲーマーになりたい」などの目標がある子は、いつまでも在学するよりも次のステップに進みたいはず。
ルネサンス高校に聞いてみた!卒業率は全日制と同水準を目指す
長男が志望している、ルネサンス高校のeスポーツコースは、2018年4月開校で、まだ卒業生を出していません。
2021年3月に、初年度の入学生が卒業を迎えます。
見学に行ったとき、卒業率についても質問してみたところ、力強い答えが返ってきました。
というのも、ゲーミングPCの台数に限りがあるので、在校生には順調に卒業してもらわないと、次年度の生徒が受け入れられないという背景から。
入学希望者は殺到しているのに、ハードの問題で受け入れられないんですね。
実際のところ、卒業できるかできないかは、その子の覚悟や努力に大きく左右されるでしょう。
通信制高校で単位を取るには、自主性と計画性が必要
通学頻度が低いからといって、単位が簡単に取れるとは限りません。
もちろん、先生たちもサポートしてくれますが、レポート提出・スクーリング・テスト(試験)は生徒が自分でクリアするのです。
自分のペースで勉強できるのは、一見メリットですが、自己管理できない子にはハードルが高そう。
むしろ、集団でまとめて勉強させられたほうが、嫌でも単位が取れるので、かえってラクかもしれません。
高卒資格を与えるからには、全日制と同じだけの学習や知識が得られていないとおかしいですもんね。
通信だからラクなわけではなく、ある程度の水準はキープしなきゃいけないのも理解できます。
通信制高校・全日制高校|自分に合った学校を見つけよう
通信制高校のメリットは、マイペースに通学しながら、自分のやりたいことを学び、高卒資格が取れること。
全日制高校は、毎日通学する必要がありますが、そのかわり半強制的に授業を受けて単位を取得できます。
- 通信制高校の卒業資格は、全日制の高校と同じ
- 通信制高校の卒業率は、全日制よりも4%低い
- 公立の通信制高校よりも、私立の通信制高校のほうが、卒業率が高い
- 通信制高校で単位を取るためには、自主性と計画性が必要
通信制高校で、自分のペースで学ぶのが向いている人もいれば、全日制高校で毎日通うのがプラスになる人もいます。
また、通信制・全日制どちらにも、いろんな学校があるので、自分に合った環境を見つけてほしいですね。
関連記事
通信制高校の情報サイト、Re:high-school(リハイスクール)さんに寄稿させていただきました。